何年か前、友達がやってる寿司屋で飲んでたら、サービスで「イケのタコ」を貰った。そのタコは手渡しされた。食べ物を手渡しって、普通はしないけど、そもそも寿司は素手だし、サービスだから隠れて(皿なしで)出したのかとか、いろいろ考えておもしろかった。 先日、江戸前寿司屋でお任せ握りを食べた。だいたいのものは普通にゲタに載せてきてたんだけど、甘エビの握りだけは「これは手渡しで・・・」って、手渡しだった。甘エビをサイギリしたものに塩と柑橘系の絞り汁を垂らしたもので、海苔で巻いても居ないので、一度置くと崩れちゃうからだろうと想う。そこまで脆弱なモノを・・・と思うが食べれば納得。 貧乏で無教養だった頃は、料理の食べ方とかマナーってのを理由も解らず丸暗記してた。知らないと恥かく、という否定のためのマナーだ。だからカウンターは嫌いで、混んでる店の一番奥の方の目立たない席が居心地良かった。その程度のレベルだった。 いまはカウンターが好きだ。料理人もお客も、一流の人ほどマナーやコダワリを言わない。みんな一様に「気負わず、好きなように美味しく食べてもらうのが一番」と言う。僕も食べ方がわからない時は素直に聞けるようになった、そういう食に対する好奇心も大切だと想う。だから職人と話しできるカウンターが好きになった。そして、手渡し!手渡しで食べる寿司は、とても気分が良いのである。 あと不思議だけど「そうなんだろうな」って感じるのは、板前さんに刃物を自慢されることが多い。時には触らせてくれることも・・・誰にでも触らせはしないと想うよ。たぶん僕がチラチラ観てるのと、僕の手つきがキチンとしてるからだと想う。道具を扱う手つきに関しては板前さんに負けないくらい丁寧だからね。さっきのマナー以上に、これがあるから歓迎されてるのかもしれない。道具&料理を大切にする心・・・ もちろんすべては、人間としての本質的なマナーを身につけた上で。
by nopain-nogain
| 2015-08-22 13:54
| 飲む食べる
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