2次元のウソの定量化


フェラーリのデザインしてて久々に思い出した。

お客さんがイメージして指定してくる「線の太さ」は
その指定通りの数値でデザインすると、まず9割は
「指定より細くないですか?」とクレームが来る。

なのでそれを見越してこちらで勝手に太くして渡す。
そうすると「イメージ通りです」と満足してもらえる。
その太さの割り増し加減が27%程度、だったか。

その割り増しの必要性は、ずっと昔にアドセンターで
看板を作る仕事をしてたときに看板職人さんに教えてもらった。

自分でデザインすると、どうしても貧弱なモノになってしまう。
パソコン画面ではイイ感じなんだけど、3x4メートルになると
全然ちがう・・・これにはだいぶ失敗繰り返して頭かかえてた。

そんなときに教えてもらった27%って、とても微調整じゃないよね。
図面観ちゃうと、まったく違うモノ。でも、とりあえず悩んでる
デザインに3割増しすると、どれもしっくり来る。

・・・・・

このこと、オーダーに3割増しすることは、お客さんには伝えない
ことが多い。それはナゼだろう?その「感覚と現実」の違いは
人によっては受け入れられない事もあるだろう。

僕はそれはウソであるから悪いことをしてる気持ちでビクビクしながら
納品してた。しかし数を重ねるごとに、お客さんが満足してくれるのが
その27%に集まってくるのを観て、人の感覚のニブさと鋭さは
おもしろいなぁ、と感じながら、自信をもってウソの数値で納品できる
ようになった。

好奇心の強い人や図面を観れる人には、原稿と3割増しの
両方を観てもらえば、不思議な現実を楽しんでくれる人もいる。
今回のデザインも両方渡したら、やはり3割増しで決定稿になった。

・・・・・

とにかく2次元は、いくらでも絵にウソがつけてしまうものだから、
お客さんが何を求めているかを理解しなくちゃいけない。
それは原稿通りだったり、+27%だったり、-12%かもしれない。


職人さんのさじ加減というのは、絶妙だな、と思い出した。
でももう、その看板職人さんの名前は思い出せない。
by nopain-nogain | 2008-11-08 21:58 | 執筆 | Comments(0)


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